〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 賢治・啄木の縁が文化交流を深めるきっかけになれば


[シロバナヤエウツギ]


フェリーが結ぶ文人の足跡…宮古―室蘭就航で交流期待

  • 宮古市と北海道室蘭市を結ぶ定期フェリーが22日に就航する。宮古市と北海道は、岩手が生んだ歌人石川啄木(1886〜1912年)と童話作家宮沢賢治(1896〜1933年)にゆかりがあり、石碑などでその足跡をたどることができる。室蘭では8月に賢治の企画展も開催され、地元の文学館は「賢治・啄木の縁が文化交流を深めるきっかけになれば」と期待する。
  • 「午后二時十分宮古港に入る」。啄木の日記「明治四十一年日誌」には、1908年4月6日に航路で宮古を訪れたという記述がある。「四方の山に松や杉、これは北海道で見られぬ景色だ」と感想を語り、食堂でうどんを食べたり、三味線を習う女の子と出会ったりしたことがつづられている。
  • 啄木は故郷の渋民村(現盛岡市)で代用教員を免職となり、北海道へ渡り、釧路から宮古経由で函館に向かう船に乗った。宮古滞在は7時間。函館で郁雨に妻子を預けて上京し、そのまま東京で晩年を過ごしたため、最後に訪れた岩手の地が宮古となった。
  • 賢治は室蘭を2回訪れている。旧制盛岡中学校の5年生のとき、修学旅行で室蘭に行く。1924年には花巻農学校の教師として修学旅行を引率し、室蘭を訪れた。
  • 一方、北海道とゆかりの深い啄木が室蘭を訪れた形跡はないが、父一禎は一時、室蘭で生活していた。(多可政史)

(2018-06-16 読売新聞)


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