「手心」[卓上四季<北海道新聞]
- 「手応え」「手のうちを見せる」「手なずける」「手が早い」「手がかかる」「手を焼く」…。ざっと思いつくだけでも、日本語には「手」がつく言葉が多い。
- 評論家の故・森本哲郎さんは著書「日本語 根ほり葉ほり」で「日本人は手を重視する民族で心まで託す。『手心』という言葉が何よりも正直に語っている」と書いている。
- ひょっとしてその手心を加えようとしたのか。安倍首相の友人が理事長を務める加計(かけ)学園が国家戦略特区を使って学部を新設する計画である。森友問題の解明すらおぼつかないのに、またしても疑惑浮上。説明の手を抜いては火消しなどかなわない。
- 石川啄木の歌にある。<よごれたる手を見る―/ちやうど/この頃の自分の心に對(むか)ふがごとし。>。渦中の人々の手は汚れてはいないのか。心に尋ねてほしい。