〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 ZARD・坂井泉水 没後10年 “特に好きだったのは石川啄木”


[タンポポ]


没後10年 ZARD坂井泉水との最後の会話
 ビーイング創業者 長戸大幸〈dot.〉

  • 2017年5月27日で10回目の命日を迎えるZARDのボーカル・坂井泉水さんの創作ノートには短文、長文、単語……がぎっしりと書き込まれている。タイトルに「Love & Peace」と記されているのは、導入部の内容から1999年にリリースされたシングル曲「痛いくらい君があふれているよ」の原型だろう。最終的な歌詞にたどり着くまで、悩み、迷い、考え抜かれた跡がしのばれる。
  • 1993年には「負けないで」(165万枚)、「揺れる想い」(140万枚)が、1996年には「マイ フレンド」(100万枚)がミリオンセラーとなった。坂井さんは1990年代の日本でもっともCDが売れた女性シンガーの1人となる。1990年代に限れば、ユーミンよりも、ドリカムよりも安室奈美恵よりも多くのCDが売れた
  • 坂井さんが歌詞を書く作品はどこが突出していたのだろう――。絶え間なく言葉が生まれるようにと、坂井さんは文学に触れ、映画を観た。
  • 特に好きだったのは石川啄木中原中也。啄木の歌集『一握の砂』の中の次の歌が特に好きだった。

  友がみなわれよりえらく見ゆる日よ

  花を買ひ来て
  妻としたしむ

  • 「彼女はおそらく性格的に自分が生む言葉に自信がなく、だからこそ、新たな言葉との出合いに貪欲で、それによって常に歌詞を紡ぎ続けることを自分に課していたのではないでしょうか。

(2017-05-17 AERA dot. 朝日新聞


記事