〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木「体は北海道、目線は常に東京に」


[ニワウルシ]


目線は常に東京へ
「啄木の北海道時代」櫻井健治さん講演

  • 石川啄木記念館(森義真館長)主催の講演会は2日、盛岡市渋民の渋民公民館で開かれ、函館市在住の石川啄木研究家、櫻井健治さんが「啄木の北海道時代」と題して講演した。
  • 21歳の啄木は1907(明治40)年5月2日、故郷の渋民から函館へ渡るが、函館大火に遭遇し132日間の函館生活を終える。札幌、小樽、釧路と転々として1年に満たない北海道生活を終え、文学のひのき舞台である東京へと単身上京する。
  • 「自分を『漂泊者』ととらえていた啄木に、函館で定住しようという意識は最初からなかった。体は北海道にあったが、精神、目線は常に東京にあった」と指摘した。
  • 函館の文学仲間は、職をあっせんしたり金を貸したりと、啄木を支えたことも紹介。啄木の短い人生における北海道生活については、「『一握の砂』や『悲しき玩具』につながるさまざまな要素を頭の中に刻み込んだのだろう」と述べた。

(2016-10-05 岩手日報