〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

<日曜に書く> 発車の警笛は鳴ったけど…

 論説委員・五十嵐徹 

  • 明治生まれの作家、内田百けんは、無類の鉄道好きでもあった。移動手段としてではなく、ひたすら大好きな汽車に乗るためだけの旅を愛した。いまでいう「鉄ちゃん」の走りとでもいったらいいか。
  • 漂泊の歌人石川啄木も「ふるさとの 訛(なまり)なつかし 停車場の」と詠んだ。駅は誰にとっても郷里への思いと分かちがたく結びついている。
  • 3年前の東日本大震災。一度は再建不能とまでいわれた岩手県のローカル線、三陸鉄道が、今月初め、ようやく全線復旧にこぎつけた。
  • 昨年、大ヒットしたNHKの連続テレビ小説あまちゃん」の舞台にもなった、あの鉄道である。開通式には、全国から熱心な鉄道ファンが多数押しかけ、式典はメディアを通じて全国に流れた。
  • 壊滅的な被害を思えば、完全復旧は奇跡に近い。

(2014-04-20 産経ニュース)