「水や空」長崎新聞コラム
「ぢつと手を見る」人のために
- 「こころよき疲れなるかな 息もつかず 仕事をしたる後のこの疲れ」。仕事の後の充感を詠んだ石川啄木の歌だ。
- 啄木は貧困と病気に苦しみ続けたから、その短い生涯にやすらぎに浸る時間は少なかったろう。仕事の喜びをしみじみと詠んだ一首は、むしろ、背後に潜む膨大な苦悩の時間を浮かび上がらせて胸に迫る。
- 「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る」と啄木は詠んだ。経済政策は「ぢつと手を見る」人々を救うためにある。(信)
(2014-01-09 長崎新聞)