〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い息づかいに触れてみたい

教科書の中の石川啄木


[フェイジョア]


高等学校 国語教科書 平成26〜29年度用

現代文A──歴史の中の青春

 「青春文学名作選」  教育出版

 10 短歌


  一握の砂   石川啄木


   東海の小島の磯の白砂に
   われ泣きぬれて
   蟹とたはむる 
   

   頬につたふ
   なみだのごはず
   一握の砂を示しし人を忘れず


   砂山の砂に腹這ひ
   初恋の
   いたみを遠くおもひ出づる日


   いのちなき砂のかなしさよ
   さらさらと
   握れば指のあひだより落つ


   大といふ字を百あまり
   砂に書き
   死ぬことをやめて帰り来れり


   こころよく
   我にはたらく仕事あれ
   それを仕遂げて死なむと思ふ


   「さばかりの事に死ぬるや」
   「さばかりの事に生くるや」
   止せ止せ問答


   大いなる彼の身体が
   憎かりき
   その前にゆきて物を言ふ時


   あたらしき背広など着て
   旅をせむ
   しかく今年も思ひ過ぎたる


   人といふ人のこころに
   一人づつ囚人がゐて
   うめくかなしさ



  学習の手引き
   1 それぞれの短歌を朗詠し、その音感、リズム、情趣を味わってみよう。
   2 共感した歌を一首選び、鑑賞文を書いてみよう。


  発展
   1 啄木の他の作品や人生について調べてみよう。