〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「弓町より──食うべき詩」---石川啄木関連・大学入試問題


[ 雲 (クマの兄弟げんか)]


青山学院大学 教育人間科学、文 平成21年
 「弓町より──食うべき詩」石川啄木

 -概略-
◎ 次にあげるのは、石川啄木の評論「弓町より」の中の文章「食うべき詩」の一部である。よく読んで後の問に答えよ。
「食うべき詩(くらうべき し)」とは電車の車内広告でよく見た 【「食うべきビール」】 という言葉から思いついて、かりに名づけたまでである。
 謂う心は、両足を地面にくっつけていて歌う詩ということである。実人生と何らの間隔なき心持をもって歌う詩ということである。珍味ないしはご馳走ではなく、我々の日常の食事の香の物のごとく、しかく我々に「必要」な詩ということである。――こういうことは詩を既定のある地位から引下すことであるかもしれないが、私からいえば我々の生活にあってもなくても何の増減のなかった詩を、必要な物の一つにするゆえんである。詩の存在の理由を肯定するただ一つの途である。



【 】内の「食うべきビール」とは、どのようなビールであると啄木は考えているか。次のア〜オの説明の中から最適なものを選び、記号をマークせよ。

ア ただ飲むのではなく、よく噛んで、充実した栄養とするべきビール
イ 特別なものではなく、いつもの日常の生活に欠かせない食事のようなビール
ウ 食べるような「のどごし」を味わうことのできる、飲みがいのあるビール
エ 食べ物とつねによくマッチする、いわば食べ物の一種のようなビール
オ 高級な御馳走なので、すぐ飲んでしまってはもったいないようなビール



● 解答は次回に