〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

野口雨情の住んでいた家 宇都宮市<その 2 (終)>

啄木文学散歩・もくじ


野口雨情詩碑「あの町この町」 鹿沼街道沿い

旧居前の鹿沼街道を挟んだ向こう側(約80m右方向)に詩碑がある。1958年(昭和33)、雨情詩碑建設委員会が建てた。

  あの町 この町 日が暮れる 日が暮れる
  今きたこの道  歸りやんせ 歸りやんせ



羽黒山神社の詩碑
旧居の北東300mほどのところに羽黒山神社がある。坂道を上ると、神社の鳥居の横に詩碑「蜀黍畑(もろこしばたけ)」が建っている。写真の中央が神社、右手前が雨情の歌碑。1982年(昭和57)に建立。



「蜀黍畑」野口雨情
  おせどの親なし はねつるべ
  海山千里に 風が吹く
  もろこし畑も 日がくれた
  にわとりさがしに 行かないか




和菓子処 乙女屋 店内の額
「雨降りお月さん」二番の詩が書いてある。


  雨降りお月さん 雲の蔭
  お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
  ひとりでからかさ さしてゆく
  傘ないときゃ 誰とゆく
  シャラシャラ シャンシャン 鈴付けた
  お馬にゆられて 濡れてゆく


   いそがにゃお馬よ 夜が明けよ
   手綱の下から ちょいと見たりゃ
   お袖でお顔を 隠してる
   お袖は濡れても 干しゃ乾く
   雨降りお月さん 雲の蔭
   お馬にゆられて 濡れてゆく


日本全国を旅して各地に民謡を書いた雨情は、啄木と同じように全国に詩碑がある。
この家に来てからちょうど一年後、1945年(昭和20)1月27日、つる夫人、6人の子ども、親しい人々に看取られながら永眠した。享年62。墓は、東京の小平霊園と生家茨城県磯原にある。

(野口雨情の住んでいた家--終)