〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「北の文学」発売


[表紙]


「北の文学」64号 5月23日発売
  A5判 180ページ 1冊1,155円 岩手日報社

  • 今号には応募25編の中から優秀作に選ばれた渡辺治虫さん(雫石町)の小説「野うさぎたちの草原」のほか小説4編を掲載。
  • グラフ文学散歩は、桜出版社(東京都)主筆の山田武秋さんが、東京にある石川啄木ゆかりの場所を訪ねました。

(2012-05-20 岩手日報

「北の文学」<グラフ文学散歩> 山田武秋
東京の石川啄木ゆかりの地

  • 啄木は都合五回、上京した。最初の上京は明治32(1899)年、14歳。二回目の上京は、明治35(1902)年、17歳。三回目の上京は啄木19歳の明治37(1904)年。四回目の上京は啄木21歳の明治39(1906)年。五回目は、明治41(1908)年、啄木23歳の春だった。
  • 社会主義新自由主義といったイデオロギーへの幻想が消えた今、私たちは改めて……、啄木の全体像を描き直してみる必要がある。それは、日本人にとっての「私」とはなにかを、遠い歴史にまで遡って、あらゆる角度から見つめ直す作業でもある。『一握の砂』において「我を愛する歌」とした啄木の「我」は、日本という文化におけるアイデンティティーのあり方として、再検証してみる必要がある。


啄木終焉の地の石碑再建運動が始動

  • 啄木終焉の地、小石川久堅町にあった「啄木終焉の地」の石碑が今はない。2009年に撤去され、土地所有者の宇津木さんも転居された。
  • 昨年(2011)に開催された国際啄木学会東京支部(大室精一支部長)の例会において、石碑再建のための活動が開始されることとなった。
  • 本年2月に「啄木終焉の地の石碑再建」要望書を文京区長に提出し、3月に「観光振興の見地から、新しい「終焉の地歌碑」の建立を視野に入れ再建を検討する、再建に当たっては国際啄木学会の協力を仰ぎたい」という回答があった。
  • 啄木終焉の地の石碑再建は、東日本大震災で被災した岩手復興への力強いエールともなる。石碑再建に向けて、啄木愛好者はじめ各方面の皆様には、これからも幅広いご理解・ご支援をお願いしたいと思っている。

(東京・桜出版編集主幹・国際啄木学会会員)