石川啄木を身近に感じる井上ひさし流の評伝劇 段田安則
「泣き虫なまいき石川啄木」
「正直これまでは、石川啄木に対してさほど興味を感じることはなかった。でも井上さんの評伝劇というのは、その人物を嘘なく描いた上で、井上さんならではの視点で切り取られたおもしろさがある。啄木を単に夭折の天才としてではなく、家族という日常生活のわずらわしさと格闘しながら、必死に作品を生み出そうとしている一人の人間として描いていて。一気に啄木を身近に感じることができ、魅力的な人だと思った」
「俳優というのは役を演じてはいるが、結局その人の人間性、人間味が出てしまうもの。そういう点で吾郎くんは、その人間味に嘘がなく、そこがとても心地いい。一(はじめ・啄木の本名)の少し飄々としていて掴みどころのないところとか、次第に苦悩を深めていく心情は、吾郎くんの色と合うのではないか」
- 作品の核として大切にしたい想い
「夫婦の情愛、嫁姑の諍い、志半ばの挫折……、生きていくのは結構大変だけれども、その中でも人は希望を見つけていけるんだと。それこそがこの作品から伝えられる、一番大事なことだと思う」
(野上瑠美子)
(2011-08-04 朝日新聞>夕刊>広告)