- 亡き主人を迎えに渋谷駅に通う秋田犬の悲話を、「いとしや老犬物語」と伝えたのは手前みそながら本紙だった。
- 生前に銅像が建ったハチほどではないが、この震災でも「奇跡の犬」が生まれた。沖に流された屋根の上から、3週間ぶりに救われたバン。飼い主と再会し、ちぎれんばかりに尻尾を振る姿に、「家族の絆」を思った
- やせこけ、放射能の中をさまよう犬や牛馬の姿に、啄木が詠んだ光景の貴さをかみしめる。〈路傍(みちばた)に犬ながながとあくびしぬわれも真似(まね)しぬうらやましさに〉。屈託のない犬と、あやかりたいと眺める歌人。今にしてみれば、夢のような退屈である
- 絶望の闇を抜け……、その時あなたに寄り添うのは、一人ではなく一匹かもしれない。