〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「反時代性」に鋭敏に反応した啄木

[エゴノキ]


ゲーテニーチェ(22)【次代への名言】

  • 「一大勝利とは、一大危難なのである。勝利に耐える方が敗北に耐えるよりも難しいのが、人間というものである」(ニーチェ『反時代的考察』)
  • このニーチェの「反時代性」に鋭敏に反応した明治の日本人がいた。夭逝の詩人、石川啄木である。
  • 《敗れたる国の文明果して劣れるか、勝たる国の文明果して優れるかと叫べるニイチエの大警告》。これは明治37(1904)年春のエッセーの一文。翌年の秋に日露戦争で日本が勝利をおさめたあと、啄木は記している。《汝は、汝の兵卒が露西亜の兵卒と競争して優勝旗を獲た為めに、軍事ならざる他の一切の事までも世界一な様に驕つて居る。何と情ない話ではないか》。(文化部編集委員 関厚夫)

(2010-09-28 産経ニュース>文化>学術)