〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

『ぼくと1ルピーの神様』幸せは歩いてこない


アセビとサクラ】


『ぼくと1ルピーの神様』

クイズ・ミリオネアで全問正解し、史上最高の賞金10億ルピー(日本円で現在、約19億円)を手にした少年が主人公。彼は孤児で貧しくて教育も受けていない。警察はインチキしたのだろうと彼を逮捕し拷問する。もう「自白書にサインするしかない」と朦朧としているところに女性弁護士が現れ・・・。


小気味よいリズムで展開し、なぜ彼がミリオネア13問を解くことができたかの謎が明かされる。そこには、現代インドの姿がある。貧困・DV・宗教問題・戦争・・・今の日本とは桁の違う階層差別に身震いがする。作者は現役の外交官だそうだ。

暗い話ではあるが、少年の生き方には逞しさと明るさとユーモアがある。「♪幸せは歩いてこない 歩みを止めずに 夢みよう」

運に「まかせる」のではなく、運を「つかめ」と彼が励ましてくれる。読後スッキリ!