〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木の短歌、賢治の短歌 第146回」


タイガーアイ


「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中
   盛岡大学長 望月善次

第146回 中等教育と高等教育

  • 啄木の短歌

  盛岡の中学校の
  露台の
  欄干に最一度我を倚らしめ

  • 賢治の短歌

  日下りの
  化学の室の十二人
  イレキを
    帯びし白金の雲

    • 啄木と賢治の対照的なことの一つに、最終学校がある。啄木が旧制中学校退学、賢治が高等農林学校卒業であることも、二人の世界を考える上で、無視できないことの一つ。
    • 啄木は、いわゆる学歴コンプレックスが少なく、当時の最高学府を出た友人たちとも、まったく五分に付き合っているが、学園生活体験の有無はいかんともし難い。

2009-04-04 盛岡タイムス)

          • 露台(バルコン)、欄干(てすり)、最一度(もいちど)、「イレキ」は、「電気」を意味するオランダ語による「エレキテル」の略語。