〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「短歌」で選ばれた正岡子規、与謝野鉄幹、与謝野晶子、斎藤茂吉、若山牧水、石川啄木、三枝昂之…


[マルバフジバカマ]


◯エキレビ!  今注目のアプリ、書籍をレビュー

「自分がどんな人であるかを知ってもらいたい」は永遠に若者の悩みなのかと詩歌の役目
  ライター 千野帽子

 池澤夏樹=個人編集《日本文学全集》(河出書房新社)第21回配本、第29巻『近現代詩歌』

  • 穂村弘が「短歌」、小澤實が「俳句」の選・註解を担当し、それぞれ50人の歌人俳人の短歌・俳句を、各5首・5句ずつ、計250首・250句選んだ。
  • 「短歌」は、まず5首をまとめて提示したあとで、選者・穂村弘の鑑賞文がくる。5首の全体から読み取れることを選者がすくいとり、作者が人生で経験したことや、短歌史における作者の評判・位置づけを教えてくれる。
  • これを読んで、短歌というのは作者がどんな人かを知るために読むものだという気がしてきたし、自分がどんな人であるかを知ってほしくて歌人は短歌を書くのだな、という印象を持った。

(2016-10-23 エキサイトレビュー)


石川啄木が好きな教師 -金子兜太の恩師

◯遠みち近みち

97歳 金子兜太の童心  編集委員 内田洋一

  • 山里に曼珠沙華(まんじゅしゃげ)が咲く秋の一日、蒸気機関車に揺られて埼玉県の秩父を訪ねた。その名もSL句碑巡り号。郷里の俳人金子兜太さんの誕生日を祝い、車内句会まで催す俳句列車は沿線の人に手を振られ、がたごと走る。
  • 曼珠沙華どれも腹出し秩父の子。昔の兜太句もSLの旅情によって近しく感じられる。
  • 皆野町文化会館で開かれたことしの会では、本紙俳壇選者の黒田杏子さんと対談した。97歳の心境を問われ、小学校の先生への恩をくりかえし称え、答とした。「純粋まっとうで、これにまさる先生は我が人生でほかにいませんな」。石川啄木が好きな若き教師は美幻子という清澄な俳号をもっていたという。
  • 先生の句。嘘泣きや渋る呂律(ろれつ)のはがゆくて。

(2016-10-22 日経新聞夕刊)