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「自分がどんな人であるかを知ってもらいたい」は永遠に若者の悩みなのかと詩歌の役目
ライター 千野帽子
池澤夏樹=個人編集《日本文学全集》(河出書房新社)第21回配本、第29巻『近現代詩歌』
- 「短歌」で選ばれた正岡子規(1867-1902)以降与謝野鉄幹、与謝野晶子、斎藤茂吉、若山牧水、石川啄木、釈迢空、岡本かの子、宮沢賢治、塚本邦雄、馬場あき子、福島泰樹らを経て三枝昂之(1944-)までの50人は、池澤夏樹(1945-)よりも年長者を選んだというチョイス。
- 「短歌」は、まず5首をまとめて提示したあとで、選者・穂村弘の鑑賞文がくる。5首の全体から読み取れることを選者がすくいとり、作者が人生で経験したことや、短歌史における作者の評判・位置づけを教えてくれる。
- これを読んで、短歌というのは作者がどんな人かを知るために読むものだという気がしてきたし、自分がどんな人であるかを知ってほしくて歌人は短歌を書くのだな、という印象を持った。
(2016-10-23 エキサイトレビュー)