〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

盛岡タイムス 啄木は日清日露戦争に向かう閉塞した時代 平和な社会が来ることを信じた

カシワバアジサイ

盛岡タイムス

渋民で啄木忌の法要 一般参加は4年ぶり

  • 第112回啄木忌法要が13日、盛岡市渋民の宝徳寺で営まれた。1912(明治45)年の歌人の命日にその威徳を偲び、文学と思想をたたえた。コロナ禍のため、一般参加も受け入れての法要は4年ぶり。約80人が参加し、仏前に合唱、詩吟も献じた。
  • 啄木祭実行委の福田稔委員長が「啄木は短歌で名声を上げ、小説も書いた。『鳥影』では感染症としての赤痢を描いたが、啄木と家族は結核という感染症で亡くなっている。世界に目を向けるとロシアのウクライナ侵攻という戦争が起きている。啄木は日清日露戦争と急速に軍国主義に向かう閉塞した時代、平和な社会が来ることを信じながら、都市生活の孤独や望郷の歌の数々を作り出した。いま、啄木の短歌は世界の主要な19言語に翻訳され、世界中の多くの人たちに親しまれている」と述べ、精神の継承を誓った。
  • 谷藤裕明盛岡市長を代理し、中村一郎副市長が「令和6年度開館を目指し、啄木記念館と玉山歴史民俗資料館の複合化を進めている。啄木終えんの地である東京都文京区とは友好都市提携を結び、啄木とゆかりの深い函館市とは、友好交流に関する覚書を交わし、友好関係を一層深める」とあいさつした。
  • 望月善次岩大名誉教授が「啄木《三行書き》短歌の音読」と題して講演した。

(2023-04-14 盛岡タイムス)