2021.7.6 みすず野
- 「石をもて追はるるごとく/ふるさとを出でしかなしみ/消ゆる時なし」。一家離散の憂き目に遭い、故郷の岩手・渋民村(当時)を追われた石川啄木は、二度と渋民を訪れることはなかったが、こうも詠んでいる。
- 「ふるさとの山に向ひて/言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな」。啄木の故郷に対する屈折した心情は置くとして、「ふるさとの山に向ひて―」の歌には共感を抱く。実際松本平からの山は言うことなしで、梅雨の合間に姿を見せる、北アルプスの美しいこと。幸いその山々の名前を白馬三山まで、口に出して言うことができる。
(2021-07-06 市民タイムスWEB>松本・安曇野・塩尻・木曽 信州の地域紙)
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