〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

エッセー「啄木の病生活に就て」二宮敬治

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ロウバイ

ばん茶せん茶

岩手医専と文学   佐々木靖

  • かつて、二宮先生と敬意と親しみをこめて呼ばれていた医師が盛岡にいた。岩手医専(現岩手医大)の二宮敬治である。
  • 筆者が盛岡一高生の時、英語担当の大谷利彦先生に呼ばれて、同級生とその住まいを訪ねた。そこで、先生は「この家は二宮先生が住んでいた家ですよ」と話された。大谷先生は間もなく武蔵野女子大に移り、著書や論文を次々と出された。石川啄木論もあった。
  • 二宮敬治は盛岡中学を出たあと、九州帝大医学部で博士号を取得して盛岡に戻り、岩手医専で二宮内科を開いた。1935年、二宮は医専の機関誌「圭藻」に「啄木の病生活に就て」というエッセーを発表し、石川啄木の病状の進行状況と生活ぶりを、正岡子規ゲーテなどと比較しながら分析し、早世を惜しんだ。大谷先生も啄木に親しみ、二宮と同じ九大出身である。(佐々木靖章 盛岡市出身、茨城大名誉教授)

(2021-01-29 岩手日報