ブログ紹介「お天気~3分15秒~」
まさかの大火!家族を落ち着かせるため啄木は何をした?
8月も終わりですが、厳しい残暑。
函館の最高気温は30.5℃まで上がり、今年2度目の真夏日、かつ、今年の最高気温を記録しました。一方、1907年のきょう、8月27日。石川啄木の日誌に書かれていた函館の数字は15000。
これは、二日前の函館大火で焼失した家屋の数でした。
八月二十七日 曇
市中は惨状を極めたり
町々に猶所々火の残れるを見、黄煙全市の天を掩ふて天日を仰ぐ能はず。
人の死骸あり。犬の死骸あり、猫の死骸あり、皆黒くして南瓜の焼けたると相伍せり、焼失戸数一万五千に上る
(石川啄木「明治四十年丁未歳日誌)から)
この日の天気図をみてみますと・・・北海道のすぐ西に低気圧が見えます。また本州の南も低気圧。
全国的に深い気圧の谷の中といった状況。
15,000戸を焼き、まだ残り火が燻る函館。
さて、この日の啄木の日記には、大火の様子がありありと描写されるとともに、燃える街に対して快哉を叫びたくなるような気分になったことなどが書かれていますが、防災上?ちょっと面白いと思ったのが以下の記述です。
・・・家は女共のみなれば、隣家皆避難の準備を了したるを見て狼狽する事限りなし、
予は乃ち盆踊を踊れり、
渋民の盆踊を踊れり、かくて皆笑へる時予は乃ち公園の後なる松林に避難する事に決し、殆んど残す所なく家具を運べりき・・・
なんだが、信じがたい話ですが、盆踊りを踊ることにより、家族を笑わせ、落ち着かせ、冷静になったところで「逃げよう!」と決めて行動するあたり、非常の事態を前に極めて冷静な姿がみられます。
まさかの時こそ、冷静に。
ひとつ、啄木から教えられました。
(2020-08-27 お天気〜3分15秒〜)