〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木と漱石の文章から見えること コロナとペスト

f:id:takuboku_no_iki:20200812152213j:plain

ヤマブキ

人間、自然の尊厳守る世を コロナ禍と ペスト

 啄木と漱石の文章から

 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本と世界の抱えるさまざまな問題をあぶりだし、社会のあり方を問うています。今から約100年前、明治期の日本にはペストが流行しました。当時を生きた、夏目漱石石川啄木の文章から見えることを、憲法に基づく民主的な吟詠の会として活動する新興吟詠会本部事務局長の園部道佳さんの寄稿で紹介します。

漱石とペストの流行

  • 激しく移り変わる「文明開化の明治日本」を「開化が進めば進むほど競争がますます劇しくなって生活はいよいよ困難になる」、「焦慮に焦慮て、汗を流したり呼息を切らしたりする。恐るべき神経衰弱はペストより劇しき病毒を社会に植え付けつつある」と鋭い眼差しでみています。

啄木の人間への警告

  • 新型コロナをはじめ、新たな感染症が次々と出現している要因に、人間による生態系への無秩序な進出と、熱帯雨林の破壊などの環境破壊が指摘されます。
  • 啄木は、百年前の随想「猿と人と森」で、「人間はいつの時代も木々を倒し、山削り、川を埋めて、平な道路を作ってきた。だが、その道は天国に通ずる道ではなくて、地獄の門に行く道なのだ」と、サルは白雲落日の山に行ってしまったと記し、自然を破壊していく人間へのサルの警告を発しています。
  • 文芸誌「明星7号」(明治41年)には、「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹と戯る」「血を見ずば飽くを知らざる獣の本性をも神を崇めむ」を「石破集」として百余首の短歌を発表、治安警察法のもと、整理、集大成して「一握の砂」として出版しました。

(2020-08-12 東京民報)

 

人間、自然の尊厳守る世を コロナ禍と ペスト 啄木と漱石の文章から | 日本共産党東京都委員会