「正平調」 神戸新聞
- 石川啄木が故郷を詠んだ。〈かにかくに渋民村は恋しかり/おもひでの山/おもひでの川〉。また〈ふるさとの/かの路傍(みちばた)のすて石よ/今年も草に埋(うず)もれしらむ〉。その歌に、懐かしい風景と夏草のむんとした匂いを思い出す。
- お盆が明けて、がらんとしていた街に働く人たちが戻ってきた。思い出の山川に遊んだのか、行楽地の混雑にもまれたのか、今も心地よいけだるさに浸っている…職場を見渡せば、そんな同輩もいるに違いない。
- 朝晩のつかの間の涼に身を休め、さあ、もう一踏ん張りといくか。