啄木と牧水 -下-
国際啄木学会 2018年宮崎大会
〇 研究発表
国際啄木学会宮崎大会では、森義真さん(石川啄木記念館館長)、劉怡臻(りゅういしん)さん(明治大学大学院)、中村佳文さん(宮崎大教授)が研究発表した。
- 森さんは「牧水にとっての4月13日 −友・啄木と恋人喜志子をめぐる葛藤」と題し発表。若山牧水は1912(明治45)年4月13日、啄木の臨終に友として唯一立ち会い、区役所や葬儀の手配に奔走した。そんな牧水が「なぜ15日の葬儀には参列しなかったのか」を考察した。
- 牧水は「石川啄木の臨終」(読売新聞)で欠席理由に疲労と種々の人に会う苦痛を挙げているが、森さんは新たな解釈を加えた。啄木の死亡届の受理が15日となっていることから、牧水は13日に区役所に届け出たが受理されなかったと仮定。「葬儀で忙しい親族に代わり、15日に改めて届け出たのではないか。義務感が欠席理由の一つでは」と論じた。
- 牧水は13日夕、恋人太田喜志子から届いたプロポーズ承諾の手紙に返事を書いている。また雑誌「自然」の発行準備も大詰めを迎えていた。森さんは「これらが心を離れない状況だった。13日に石川家から迎えが来たことは迷惑だったかもしれないが、友人を大事にしたいと思って行った」と人間性を評価した。
(2018-05-18 岩手日報)
(つづく)