〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 「啄木短歌の魅力―推敲を中心に」啄木忌前夜祭講演会 開かれる


[オオデマリ]


推敲に無二の感性
 啄木忌前夜祭 池田功さん講演

  • 啄木忌前夜祭は盛岡市の市民文化ホールでこのほど開かれ、国際啄木学会会長で明治大教授の池田功さんが「啄木短歌の魅力―推敲を中心に」と題し講演した。
  • 池田さんは啄木の歌稿ノートや新聞・雑誌などが初出の歌から「一握の砂」「悲しき玩具」収録の歌の変更点に着目。漢字をより難しい漢字に▽平仮名から漢字に▽「ごとき」の比喩に▽繰り返し記号をやめる―などの9項目で、推敲の法則を探った。
  • 漢字変換などの項目では適用されないケースも多く、パターンがないと推定。「その時その時の感性で推敲していた。だからこそまねができない」と評した。
  • オノマトペの豊かさも指摘。池田さんは「『一握の砂』は擬声語と擬態語が半々だったが、『悲しき玩具』は擬態語が90%以上になる。『一握の砂』は動的な聴覚の世界、『悲しき玩具』は静的な視覚の世界と言える」と論じた。

(2018-04-17 岩手日報