新「仁王文庫」
小国露堂の孫・菊地さん「水沢にお礼を」 啄木の友の貸本屋再現 奥州市
- 北海道時代の歌人、石川啄木と濃密な交友を重ねた宮古市出身の新聞記者、小国露堂(おぐにろどう)(本名・善平、1877〜1952年)の孫、菊地礼子さんが、奥州市水沢区姉体町の自宅敷地に近隣住民がくつろげる癒やしの空間「宙(そら)」を開設し、併設の図書コーナーに「仁王文庫」と名付けた。露堂が晩年、盛岡市内で営んだ貸本屋と同じ名称の文庫を設けることで、露堂の生誕140年をささやかに祝った。
- 今月中旬の週末、新しく完成したばかりの約60平方メートルの建物に近くの住民ら約30人が集まった。吹き抜けのガラス窓には青々とした空が広がり、木の香りも心地いい。出席者は唱歌を歌い、読み聞かせの絵本に見入り、耳を傾けた。
- 露堂は、啄木に社会主義を説いたことで啄木研究家の間には知られている。啄木が釧路新聞を辞して上京後、後継者に招かれたのが露堂だった。2度北海道に渡った後の昭和初期、宮古に帰って宮古新聞を再刊。岩手日報に統合される1941年12月まで日刊で夕刊紙を発行した。
- 新・仁王文庫は毎週木曜日午後1時〜3時半に開き、利用は予約が必要。問い合わせは菊地さん(090・9638・0431)。(鬼山親芳)