〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木 賢治」の足跡を後世に伝え続ける役割


[センダン]


啄木と賢治伝え続ける < 展望台 < 岩手日報

  • 宮澤賢治が「…… 聖日蓮生誕七百年の思ひ出深き日に/剃髪して深夜漂然家出す」。1921(大正10)年3月6日付の本紙(岩手日報)にはこんな見出しの記事がある。
  • 一見センセーショナルな見出しから資産家の息子の家出を興味本位、あるいは批判する立場で書いたものとばかり思い込んでいた。ところが実際は「現世(うつしよ)の帳(とばり)を払って『法』の為めに敢然と発心した年若き信徒よ…」と、賢治を感心な若者として褒める内容で、その門出に「幸多かれ」と祝福までしていた記事だった。ゴシップ記事を疑った自分を反省するとともに、温かな目で賢治の家出をとらえた約100年前の先輩記者から大事なものを教わったような気がした。
  • ことし生誕130年の石川啄木と、同120年の賢治。自分が本紙創刊140年特集で「啄木賢治の肖像」を紹介することとなり、幸せを思う反面、2人の足跡を後世に伝え続ける役割もまた負っていると思う。(志田澄子)

(2016-07-16 岩手日報