- 〈ふるさとの山に向ひて/言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな〉。きょうは石川一(啄木)の生誕130周年。近代化をひた走った明治という時代と共に生きた。享年26。あまりにも短かった命を惜しむ声は今も尽きない。
- 〈不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて/空に吸はれし/十五の心〉。その赤ん坊のような子はやがて、文芸に目覚め、中学を中退して上京する。その後は一家の生計を背負いながら創作を続けるという生活苦。糧を求め、ふるさとから北海道にも渡る。
- 亡くなって100年以上はたつ。だが時代は、啄木が感じていた世情にどこか似てきてはいないか。〈はたらけど/はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る〉。啄木を読み返したい。
(2016-02-20 日本農業新聞>四季)
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