〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

明治末の青年たちに対する檄… 松本健一さん

上毛新聞ニュース>三山春秋

  • きょうは歌人石川啄木(1886〜1912年)の忌日。少し前、評論「時代閉塞(へいそく)の現状」を読み返したところ、訴える力の強さに思わず傍線を引いた箇所がいくつもあった 。
  • たとえばこんな言葉だ。〈我々は今最も厳密に、大胆に、自由に「今日」を研究して、そこに我々自身にとっての「明日」の必要を発見しなければならぬ〉。
  • 書いたのは、亡くなる2年前の1910(明治43)年夏で、24歳のとき。日露戦争後に強まっていた社会不安、そして思想弾圧(大逆事件)に対する思いであり、息苦しい現実を変革していこうという主張だった。
  • 前橋市出身の思想家、松本健一さん(故人)は、この評論を、煩悶(はんもん)するばかりだった明治末の青年たちに対する檄(げき)の意味があったとし、〈(青年たちに)これこそじぶんたちの言葉だ、と鼓舞する性格をもった〉ととらえる。(筑摩書房石川啄木』)

(2015-04-13 上毛新聞ニュース)

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