〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木は宇宙が好きだったか -啄木の命日-

朝日新聞天声人語

  • 石川啄木は風変わりな問答形式の歌を詠んだ。〈「空あふぎ何をもとむや」「前の世に住みけむ星を忘れたる故」〉。「空を仰いで何を探しているのですか」「前世で住んでいた星を忘れたから、その星を探しているのです」。
  • 22歳でノートに書いた歌は、なぜか棒線で消されている。が、その夢想は、夜空を仰いでは「宇宙にも生命や文明はあるか」と問うてきた人類のロマンに通じる。啄木は宇宙が好きだったか、これも風変わりな「火星の芝居」という散文を残している。
  • 火星に行った夢を見た男が言う。「火星の人間は、一体僕等より足が小くて胸が高くて、最も頭の大きい奴(やつ)が第一流の俳優になる」。大ヒットした映画「E・T」の宇宙人を思わせて面白い。
  • きょうは啄木の没後103年の命日で、きのうは日本のロケット試射成功から60年という日だった。

(2015-04-13 朝日新聞天声人語

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