〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「たわむれに母を背負ひて…」啄木忌


[ハクウンボク]


<金口木舌>かけがえのない存在

  • 「たわむれに母を背負ひて そのあまり軽(かろ)きに泣きて 三歩あゆまず」。苦労を掛けた母。ふざけておぶったらその軽さに老いと自分が掛けた苦労を知り、涙をこぼした。石川啄木の有名な歌だ。
  • 放蕩(ほうとう)者だった啄木は親に苦労を掛けた自責の念から父母を詠んだ歌も多い。「燈影(ほかげ)なき室(しつ)に我あり 父と母 壁のなかより杖(つえ)つきて出(い)づ」。老いた両親が長男の自分を頼り、壁から出てくる。幻想的なこの歌からも自責の念を感じる。
  • 子にとって親は掛け替えのない存在だ。施設に入所する高齢者も、その子にとって一人一人大切な存在だ。きょう13日は啄木忌。啄木が歌に込めた思いをかみしめたい。

(2015-04-13 琉球新報

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