〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

〈いつしかに正月も過ぎて、/わが生活が/またもとの道にはまり来れり。〉石川啄木


[マユミ]


〈何となく、/今年はよい事あるごとし/元日の朝、晴れて風無し。〉…

  • 〈何となく、/今年はよい事あるごとし。/元日の朝、晴れて風無し。〉。作家の阿刀田高さんは元日の朝晴れていると石川啄木のこの歌を思い出し、ことしこそいいことが、と願うそうだ。
  • 啄木といえば〈はたらけど/はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る〉で知られる。借金や病気に苦しんだ人らしく、こんな歌も残している。〈新しき明日の来(きた)るを信ずといふ/自分の言葉に/嘘(うそ)はなけれど‐〉。
  • これも正月の歌。〈戸の面(も)には羽子(はね)突く音す。/笑ふ声す。/去年の正月にかへれるごとし。〉。
  • 〈いつしかに正月も過ぎて、/わが生活(くらし)が/またもとの道にはまり来れり。〉。

(2015-01-03 西日本新聞

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