〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

何をやっても 郁雨から愛される啄木


[パンパスグラス]


【北の文人 立ち話 高山美香】

啄木を支援し続けた宮崎郁雨

  • 天才歌人であり借金の天才でもあった石川啄木がつけていた「借金メモ」。多くの知人からの借金総額は1372円50銭だったとか。おおざっぱですが当時の1円は今の1万円相当ともされます。
  • その中で一番多くお金を貸していたのが歌人の宮崎郁雨でした。郁雨(大四郎)の家は新潟県の旧家でしたが、父の代で函館に移住し、醸造業で成功を収めました。
  • 郁雨は、啄木の才能はもちろん彼が語る妻との大ロマンスにも心酔。啄木が一家離散状態だと知ると、費用を負担し家族を呼び寄せます。生涯にわたり啄木一家を支援し、一族の墓を立待岬に定めるなど啄木を敬い慕いました。
  • 郁雨は、啄木の奔放さに振り回されながらも彼の魅力にひかれました。何をやっても愛される啄木もすごいが、啄木の借金を「最初から返して貰う意思が無かったから金高は覚えて居ない」と語る郁雨もすごい。郁雨が詠んだ啄木の歌。

  「唯一のわれの遺業となるならむ 啄木の墓を撫でてさびしむ」
(2012-12-07 朝日新聞>北海道)