〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

我孫子の楚人冠と啄木と <その 3(終)> (講演会 1/6)

啄木文学散歩・もくじ


千葉県我孫子市に啄木を訪ねて <その 3 (終)>


「澤の家」
大正11年に新築したもので、現在記念館にある建物の中では一番年代が古い。門から入ると、左手に母屋(記念館)、右手の坂を下って「澤の家」という配置になる。

展示
◎ 啄木と善麿
啄木と善麿は初対面の時から意気があったままだった。啄木が迎えた最後の新年、1月5日の日記にはこうある。

今日は朝から気分がよくて、土岐が来さうな日だと思つてゐると、果して午後一時少しすぎにその土岐がやつて来た。私は早速ピラミドンをのんで熱の予防しながら話した。
 二人の間には何時逢つてもこれといふ纏まつた話の出た事はない。しかし私の言ふ事には土岐は何でも賛成するし、また土岐の面白がる事は私にも面白い。人は彼には気障な処があるやうに言ふが、私にはその気障に見える処までが面白い。
(『啄木全集』第六巻 238頁 -展示目録 及び 企画展解説書-)

展示
◎ 善麿と楚人冠のその後
啄木の追弔会の相談で初めて出会った楚人冠と善麿。二人はその後、善麿が作った雑誌に楚人冠が原稿を書いたり、楚人冠全集増刊の編集を善麿が引き受けたりと、公私ともに親しくした。(-展示目録-)



杉村楚人冠碑」
碑は、邸宅から北西方向に歩いて数分のところの「楚人冠公園」内にある。楚人冠が指導していた湖畔吟社の有志により建立された。楚人冠公園は、かつて楚人冠邸の一部だった。解説書の写真には手賀沼も写っていたが、現在は見えない。






「筑波みゆ 冬晴れの 洪いなる空に」
句碑は我孫子に住んだ陶芸家河村蜻山の作陶による。





「楚人冠邸園内の小径」
暖かい日が射す園内には、母屋、茶室、澤の家、蔵の4棟がある。現在残る面積は約 5,200平方メートルあり、手入れもよくされていて心地よい。楚人冠の植えた椿・梅・芭蕉などが木陰を作り、湧水・井戸・池・風呂跡などを見て回りながら、ベンチで一息入れるのも楽しい。

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講演会
平成24年度冬期企画展「楚人冠と啄木をめぐる人々」関連講演会

  • 2013年1月6日(日)13時30分開場 14時開演(15時15分終演予定)
  • 場所 我孫子市生涯学習センター「アビスタ」 第2学習室

    千葉県我孫子市若松26-4
    電話番号 04-7182-0515

  • 講師 碓田 のぼる さん
  • 費用 無料(予約不要、先着45人)

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(「千葉県我孫子市に啄木を訪ねて」終わり)