[オオハンゴンソウ]
河北春秋
- 歌人の石川啄木は、明治三陸大津波(1896年)から 4年後の夏、旧制盛岡中の修学旅行で陸前高田市の名勝・高田松原を訪れた。津波の爪痕と復興への歩みを目の当たりにした。
- それから1世紀余、再びこの地を東日本大震災の大津波が襲った。一帯の松 7万本がのみ込まれたが、1本だけ残った。樹齢 270年、啄木が訪れる前から生を得ていた長寿の松。「奇跡の一本松」と呼ばれた。
- 古里を思い、弱者に寄り添う歌を作り続け、26歳の若さで亡くなった啄木。ことし没後 100年を迎えた。生きていたなら、復興道半ばの被災地に立つ「新生一本松」をどう詠んだだろう。
(2012-09-12 河北新報)