〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木 うたの風景 第4回」岩手日報


[オオイヌノフグリ]


<碑でたどる足跡>
[啄木 うたの風景 第4回]

多くの人に生きる力
  浅沼さん(啄木文学碑紀行著者)インタビュー
石川啄木の歌や詩を刻んだ文学碑は、盛岡市玉山区渋民の最初の碑に始まり、没後100年の今年も各地で新たな碑が生まれている。「啄木文学碑紀行」の著者で国際啄木学会会員の浅沼秀政さんに啄木と文学碑について聞いた。

  • 啄木の文学碑は、「詩碑や記念碑を含めると170基、歌碑に絞ると151基。歌人で一番多いのは若山牧水、次が与謝野晶子斎藤茂吉も多いはず。啄木はその次あたり。人生の短さと足跡を記した場所を考えると驚異的な数字といえる」
  • 「『歌碑の純度』で言うと、碑石の大きさ、刻む歌の内容、誰が文字を書くのか。これがしっかりしていないと質は落ちる。没後10年目に建てた碑が理想的。…そこになければおかしいという碑が一番望ましい」
  • 啄木の魅力は、「今いかに多くの人に希望を与え、生きる力を与え、時代を見抜く力、洞察力を感じさせることからすれば稀有の文学者。生き方も含めて非常に面白い」


いしぶみ散歩
・岩山公園   汽車の窓/はるかに北に故郷の/山見えくれば襟を正すも
・IGR 好摩駅  霧ふかき好摩の原の/停車場の/朝の虫こそ/すゝ"ろなりけれ
・渋民緑地公園 ふるさとの山に向ひて/言ふことなし/ふるさとの山はありがたきかな

・川崎展望地  今日ひよいと山が恋しくて/山に来ぬ。/去年腰掛けし石をさがすかな。
・寺堤     閑古鳥!/渋民村の山荘をめぐる林の/あかつきなつかし。


◎ プロローグは今回で終わり。次回からは岩手県内の碑を中心に紹介する。
(学芸部・小山田泰裕)
(2012-04-25 岩手日報