〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木歌碑 全国170基 さらに建立、再建も


[ヤナギ]


特集「啄木と碑」
 功績しのぶ思い熱く
  全国170基 さらに建立、再建も

  • 石川啄木の足跡をしるしたり、作品への共感を表すため建てられた碑は、確認されただけでも、これまで全国に170基程度が建立されている。26年2カ月の人生、10年余の文学活動を考えると、他の作家に比べて「啄木碑」はかなりの数に上る。碑を通じて啄木への思いは今も熱く注がれている。(編集委員 黒川伸一)
  • 津波20日前にあの三陸海岸の啄木碑を撮影していました。碑は流され、まだ見つかっていません」大船渡ガイドの会副会長の佐々木紀子さんは言う。高田松原の碑は、啄木関係者らが中心となり、「震災復興への思いを託したい」と新たな碑づくりに向けて募金活動が始まった。
  • 啄木の人生最期の地となった東京でも、没後100年の4月13日を挟み、碑をめぐる動きが浮上した。文京区小石川には「石川啄木終焉の地」碑が2008年まではあったが、今はない。国際啄木学会東京支部は今年2月、文京区に「案内板だけでは歴史的価値が示せない。碑の再建を」などの要望書を提出した。これを受け区は3月、隣地の取得と碑の建立方針を明らかにした。文京区観光・国際担当課の富永玲子課長は「観光振興の観点からも多くの人が喜んでもらえる形で碑の再建を検討しています」と話す。
  • 国際啄木学会の大室精一支部長は言う。「あの場所は啄木最後の文学活動の場。きちんとした形で後世に残したい。啄木が亡くなる直前に詠んだ歌を刻んだ碑を想定しており、再建に向け、学会としても募金活動などで協力したい」
  • 北海道内では、今年に入り、新規に釧路市旭川市で啄木の碑などの建立が続き、札幌でも9月完成予定に向けて準備が進む。
  • これまでの170基のうち、9割が啄木の短歌を刻んでいる。「ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」が12基と群を抜いて多い。

(2012-04-30 北海道新聞>文化)