〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

特集 地軸

<啄木と改革>

  • 石川啄木の生きた明治は国力増強の一方、人権が抑圧された生きづらい時代でもあった。「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る」。現代の格差社会で、共鳴する人は多いだろう。
  • 「一握の砂」の出た1910年、日本は大きな転機を迎えた。幸徳秋水たち社会主義者や非戦論者が天皇暗殺計画の疑いをかけられ逮捕、処刑された大逆事件。隣国を植民地にした韓国併合
  • 衝撃を受けた啄木は、…評論「時代閉塞の現状」「所謂今度の事」で強権国家を批判。秋水を弁護し社会改革の理想を説こうとした。日清と日露の戦勝に沸く世間に抗し「地図の上 朝鮮国に黒々と墨をぬりつつ 秋風を聴く」とも詠む。

(2012-04-30 愛媛新聞