〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

鳴潮

  • 落花盛んな徳島中央公園のお堀端で、新緑の柳に出合った。雨にぬれた若葉の色がハッとするほど美しい。石川啄木の短歌が浮かんだ。<やはらかに柳あをめる/北上の岸辺目に見ゆ/泣けとごとくに>
  • 岩手県陸前高田市には、その啄木の歌碑があったが、東日本大震災津波で流されたという。刻まれていたのは、<いのちなき砂のかなしさよ/さらさらと/握れば指のあひだより落つ>。偶然にも、津波にさらわれた人々をしのんだかのような歌だ。
  • 啄木没後100年の今年、碑の再建に向けて募金活動が始まった。復興への歩みは遅いが、一歩ずつ、着実に震災前の姿を取り戻しつつあるようだ

(2012-04-15 徳島新聞