〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

朗読少女 : 乙葉しおりの本の小道 第65回 石川啄木「一握の砂」

  • 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第65回の石川啄木の「一握の砂」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。 

  • 4月13日は、歌人石川啄木さんのご命日、「啄木忌」です。
  • 当コーナーでも、この後、石川啄木さんの作品をご紹介させていただきたいと思います。
  • 石川啄木さん初の歌集となる「一握の砂」は、一首を三行でまとめる「三行分け」と呼ばれるスタイルが特徴で、後の詩人・歌人にも大きな影響を与えました。
  • 題名の「一握の砂」は、手に握り締めた砂が指の隙間からこぼれ落ちていくさまを表していますが、転じて、こぼれる砂のように無常に流れる時間と、共に押し流されていく作者の不遇な生き様の記録という意味があります。
  • 本作品は石川啄木さんが上京した1908年から、足掛け3年にわたって詠まれた551首を全5編に分けて構成したもので、1910年の暮れに発表されました。
  • 漢字にルビを振り、分かりやすい言葉を使って詠まれた歌の数々は、「一握の砂」のもうひとつの特徴と言えるものなのですが、それはこの短歌に大きな共感を覚える労働者階級の人々に向けた配慮であろうことは、想像に難くないのではないでしょうか。

 最後に、「一握の砂」の中で特に有名な詩を二つご紹介します。
   東海の小島の磯の白砂に
   われ泣きぬれて
   蟹(かに)とたはむる
 
   はたらけど
   はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり
   ぢっと手を見る
(2012-04-13 毎日新聞デジタル>MANTANWEB)