〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

石川啄木の才能とは

【北の文人 立ち話 高山美香】

迷惑かけても憎めぬ男

  • 4月13日は、岩手県が生んだ天才歌人石川啄木の没後100年にあたります。26年という短い人生でしたが、短歌約4千首、詩や小説、評論など驚異的な量の作品を残し、その中には新聞記者などの職を得て函館、札幌、小樽、釧路を転々とした北海道漂泊時代に生まれた作品も数多くあります。

 「しんとして幅広き街の秋の夜の玉蜀黍(たうもろこし)の焼くるにほひよ」

  • これは札幌を歌ったものですが情景だけでなく匂いまで伝わるようです。道内には啄木関連の歌碑や銅像が40基以上もあるそうで、啄木人気の高さがわかります。
  • 啄木は…、友人や家族に迷惑をかけ続けましたが、不思議なのは誰も最後まで見捨てなかったこと。啄木に苦労させられた金田一京助は「どんなことをされても憎めなかった」と振り返っています。
  • 彼には歌の才能だけでなく、人から愛される才能があったのでしょう。函館大火の際に動揺する家族を落ちつかせようと「盆踊りを踊った」と記す啄木。あぜんとするが、やはり憎めないかも。

(2012-04-13 朝日新聞>マイタウン>北海道)