- 震災後一年になる少し前、石川啄木の故郷、岩手・盛岡を訪れることがあった。市内の北上川沿いにある渋民公園はまだ雪に覆われていた。よく晴れた日で、啄木の歌碑ごしに真白い岩手山の堂々たる姿が見えた。
- この歌人が、わずか二十六年の生涯を閉じたのは明治四十五年四月十三日。今日で没後百年になる
- <今日もまた胸に痛みあり。/死ぬならば/ふるさとに行きて死なむと思ふ。>
- 想を連ねずにいられぬのは、同じ東北の地、福島で起きた原発事故によって故郷を追われ、今なお戻れずにいる大勢の人たちのこと。
(2012-04-13 東京新聞)