- 7万本の松が津波で消えた、岩手県陸前高田市の高田松原。残る一本松、転がる流木や水に没した根元が、わずかな形見です。松原にあった石川啄木の歌碑の再建へ、市民や啄木ファンが動き出しました。
- 「いのちなき砂のかなしさよ/さらさらと/握れば指のあひだより落つ」。碑に刻まれていた歌です。啄木の歌の多くから、文字というより身体で書かれたような、生きた魅力を感じます。
- そんな歌をつくった啄木自身、幸徳秋水ら大逆事件の被告の死刑にどれほど深い痛みを覚えたでしょう。判決へのなりゆきを、息をつめるようにして見守っていた啄木です。彼の明日へのまなざしも、痛切に今に伝わります。
(2012-04-13 しんぶん赤旗)