- 石川啄木の書いた1912年の年賀状のなかの1首が、生涯最後の短歌とされる。「謹賀新年」に続けて〈今も猶 やまひ癒えずに告げてやる 文さえ書かず深きかなしみに〉。その年の4月に26歳で他界した。
- 〈はたらけど はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る〉。今の世に照らして味わい直したい歌が多い
- 〈世の中の明るさのみを吸ふごとき 黒き瞳の 今も目にあり〉〈君に似し姿を街に見る時の こころ躍りを あはれと思へ〉…
- じっと手を見る啄木もいいけれど、女性の瞳を追想する啄木も悪くない。
(2011-01-06 西日本新聞>コラム>春秋)