〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

北海道新聞 書評

≪ほっかいどうの本≫
『啄木と郁雨 友の恋歌矢ぐるまの花』
  山下多恵子 著 未知谷 出版 2,625円

  • 今年は石川啄木の歌集「一握の砂」が刊行されてから100年にあたる。いまもなお多くの人びとに読み継がれている国民的歌集だが、そのなかで啄木が献辞をささげた人物の一人が宮崎郁雨だ。啄木を物心両面で支え続けた函館時代の文学仲間である。
  • 著者は新潟県在住の評論家で国際啄木学会理事。
  • 本書はこれまで見過ごされがちだった郁雨に関する資料も丹念に読み解き、2人の交流と郁雨の存在が啄木の文学に与えた影響を、あらためて明らかにしている。啄木の北海道時代が新たな視点からとらえ直され、興味深い。(中舘寛隆=編集者)

(2010-12-19 北海道新聞>書評)