〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「はたらけど はたらけど猶…」-天声人語-

  • 「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢつと手を見る」。石川啄木がそう詠んだのは明治43年(1910)夏、24歳だった。
  • 「個人的な事情はあったにせよ、時代や社会の貧しさを詠み込んだからこそあれほどの共感を呼んだ。いま、この歌が盛んに引用されるのは時代が悲しくつらいからでしょう」。ニートなどの社会病理に詳しく、啄木研究者でもある明治大学教授、池田功さんの解説だ。
  • 短歌の腕を見込まれた啄木は、ほどなく朝日歌壇の選者に登用され、最初の歌集『一握の砂』が出版される。ただ、彼の人生の残り時間はあと1年だった。

(2007_02_26 朝日新聞 天声人語