〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

ホントに盆暗?「ぼんくら」

「ぼんくら」

江戸深川の鉄瓶長屋(この名付けも意味深い)で殺人が起こる。そのいざこざがもとで差配が代わると、次々と店子もいなくなっていく。
ヒーロー(?)は、深川の同心・井筒平四郎。脇を固めるのは、平四郎の妻・中間の小平次・煮売り屋・豆腐屋、魚屋・・・と多彩。
極めつけは、思考する少年弓之介と暗記する少年おでこ。
宮部さんは、女性だけでなく男性を描いてもすごいのに、なんと魅力的な子どもたちだろう。

江戸の町並みや仕組みがよく分かる。例えば、差配人の権力のこと、当時の宝である“下肥”のこと。


劇場の座席で良質の芝居を観ているようなトキメキと満足感が残る。
続編「日暮し」を読むのが楽しみ。