〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

17歳が盛岡一高を過去最高の賞に導く

ハンカチノキ

令和人国記

啄木に通じる郷土愛の強さ 短歌甲子園で最優秀作品賞 盛岡一高2年の伊藤蓮人さん

夭折(ようせつ)の歌人石川啄木にちなんで出身地の盛岡市で毎年、開かれている短歌甲子園盛岡一高2年の伊藤蓮人さん(17)は今夏、最優秀作品賞を獲得、同高を過去最高の準優勝に導いた。同高は啄木が学んだ旧制盛岡中が前身。伊藤さんの自宅は啄木が幼少期を過ごした旧渋民村(現盛岡市)と目と鼻の先。ふるさと愛の強さも啄木に通じるものがある。

像や歌碑…身近

小学校には像や歌碑があって啄木は身近な存在でした。小学校の時は啄木の短歌の上の句を詠んで、下の句を書いた札を取るというカルタ大会もあって、作品にも親しんでいました。

  かにかくに
  渋民村は
  恋しかり
  おもひでの山
  おもひでの川

が好きな1首です(かにかくに=なにかにつけての意)。全国から21校が参加した1チーム3人の団体戦の決勝は「丸」が題で、これを本歌取りにしました。


  少年を
  うみねこ丸は
  連れていく
  おもいでのパン
  うみねこのパン


生まれが三陸沿岸の宮古市で、廃船になった遊覧船にも乗っていました。今年7月に新しい遊覧船「宮古うみねこ丸」が就航したニュースを見たら「うみねこパン」を餌付けして楽しんでいる小さな子供たちの姿が昔の自分の姿と重なりました。幼少期の記憶は自分の中に強く残っていて、啄木の渋民村への郷愁に重ねました。

転機は中学2年

安心できる岩手

小説家になれるかどうか分かりません。でも、岩手に帰ってくると思います。安心できる場所だからです。こっちで執筆活動ができたら最高ですね。(聞き手 石田征広)

いとう・れんと 平成17年、岩手県宮古市生まれ。父親の転勤で、盛岡市に移り住んだのは小学2年から。短歌甲子園(第17回全国高校生短歌大会)で最優秀作品賞を受賞。盛岡一高2年。

(2022-11-01 産経ニュース)

 

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