幻冬舎ニュース
刊行記念インタビュー 幻冬舎編集部
どんな手でも尽くすので、“推し”の主人公を知って!
宮内悠介さん著『かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖』は、明治末期に実在した耽美派サロン「パンの会」を舞台にした傑作青春ミステリ。詩人、劇作家として活躍し、のちに医学者としても足跡を残す木下杢太郎を中心に、北原白秋、石井柏亭、石川啄木といった面々が推理合戦を繰り広げます。
ここでは本書執筆のきっかけや作家デビューの道すじなど、宮内悠介さんへのロングインタビューを掲載します。(構成/タカザワケンジ 初出/「小説幻冬」2022年2月号)
(啄木の部分を紹介)
- 明治の文人と言うと、石川啄木のような八方破れな人が多い印象ですが、杢太郎は真面目なんです。
- 自分でも意外だったのですが、書いていてめちゃくちゃ面白かったです。木下杢太郎にせよ、北原白秋にせよ、石川啄木にせよ、この人ならこんな“迷”推理をするんじゃないかなと想像して書くのが実に楽しかった。
─第五話は「ニコライ堂の鐘」。いまも御茶ノ水にある、ギリシア正教の教会が舞台です。
─この回から石川啄木が登場します。明治ものの人気キャラですが、そのつかみどころのなさをお書きになっていますね。
- わからないんです。よくネタ的に、啄木はこういうクズだった、といった話が語られますけど、その一方で、夭折の天才であり、一人で大逆事件のことを調べていた反骨の人だとも言われます。あまりにも多面的で、どういう人だったのかが想像しにくい。類型的な啄木像にはしたくなかったので、自分なりの解釈で書いています。
- これは他の作中人物もそうなのですが、基本的には史実に寄り添いつつ、なるべく読者の夢を壊さないように、というアプローチをとっています。
(2022-01-31 幻冬舎plus)
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