〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

 啄木研究者としても名高いキーンさん


[ローズマリー]


素顔の父 ドナルド・キーン ともに暮らして キーン誠己
  教育者として 大学での講義 62年間

  • 父の原稿や取材記事などが発表される時、「肩書はどういたしましょうか」とよく聞かれる。時と場合によるが、「日本文学研究者」または「コロンビア大学名誉教授」とを使い分けている。その両方とも父の場合、教育者という重要な意味も合わせもっている。父は自らを、日本文学や日本文化の伝道師とも言っているが、教え子や後継者を育てようという気持ちや義務感もあると思う。
  • 教師としての第一歩は、ケンブリッジ大学で1948年に日本語会話を教えたことから始まった。2011年、コロンビア大学で最後の授業を「能」の講義で終えるまでコロンビア大学では56年間、ケンブリッジから数えるとほぼ62年間教え続けたことになる。この長い年月から考えても、教えることがいかに大切であったか想像できる。
  • そんな父を教師として、また人間として長い間慕い続けている教え子たちが非常に多い。そして父はそのような教え子たちとどこかで会ったり、また家に訪ねて来たりすることを心から楽しみにしている。

(2018-02-13 新潟日報