[トリカブト]
(各駅停話:1039)JR花咲線:20 [朝日新聞]
「釧路 啄木、終着駅に何思う」
- インドネシアのバリ、フィリピンのマニラと並んで北海道釧路市は「世界三大夕日のまち」だという。
- 川沿いに歌人・石川啄木の像(制作・本郷新〈しん〉)がある。マントを羽織り、腕を組んで凝視している。釧路新聞の記者として再出発するため、1908(明治41)年1月21日夜、釧路駅に降り立ったときもこんな表情だったのだろうか。
- 「さいはての駅に下り立ち/雪あかり/さびしき町にあゆみ入りにき」と詠んだ。当時の釧路は終着駅。その先は原野が広がり、根室への鉄路はまだ敷かれていなかった。
- 上司への不満と、東京での創作活動の憧れから啄木は同年4月5日、酒田川丸に乗り釧路を離れる。だが実質的な編集長として縦横に紙面を作り、コラムでは政治評論にも筆を振るうなど、釧路は啄木が記者として最も奔放に活躍した場所といわれている。(編集委員・小泉信一)